異文化との間合いー吉本問題2019年07月24日 17:13

 吉本興業の在り方を巡って毎日のように侃々諤々議論されている。話の発端は吉本興業に所属する芸人が詐欺グループの会合に呼ばれた数年前の出来事が週刊誌に暴露されたことである。直ぐに嘘の言い訳をした当事者が、やっぱり本当のことを言いたいと思い直したのを吉本興行側が静観を続けようと止めさせた。しかしどうしても会見したいと記者会見した所、反響が大きく、やむなく有力芸人のすすめに従って社長が記者会見をしたところ、記者達にとっては要領を得られない結果となり、ますます批判の声が大きくなる。別の有力芸人が社長・会長が辞任しないなら自分が辞めると直談判するも話は平行線になっている。こうした事態に関係者や関係ない人達が連日話題にしているというものである。
 二つの会見をよく見たわけではないが、テレビ報道で見る限り、私には両方セットで吉本の喜劇を見ているようであった。この喜劇には基本的に大阪の文化の特徴が表れている。それに対して、大阪圏にいない人達は違和感を持ったという構図が明らかである。たとえが適当でないかもしれないが、大阪以外のほとんどがゲルマン系文化圏だとすれば、大阪は唯一ラテン系の文化圏であるといっていい。京都や神戸は大阪とは異なるが、彼等は大阪との付き合い方を知っている。しかし、他の地方の人達には大阪が理解不能な時がある。言葉や言い回し方が異なるので、いわゆる標準語に翻訳しても感情が通じない。ほとんどの大阪人にとっていわゆる標準語は外国語である。こんな時どうすれば良いのか。
 大阪吉本は全国制覇など目指すべきではない。なかには全国に通じる力量の芸人も出るだろうが、多くのゲルマン系文化圏の人にとっては大阪の芸人は動物園の檻の中にいる珍しい南洋の動物を見るようなものでしかない。したがって、大阪吉本は大阪の人達に通じる文化を磨けばいいのだ。一方、東京吉本は完全に別の企業として、ラテン系の経営体質から脱却して出直すべきである。
 文化の問題として、多数派のゲルマン系は少数派のラテン系を同化したり殲滅したりしようとしてはならないし、ラテン系もゲルマン系を軽蔑してはならない。

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