「もんじゅ」の運営主体 ― 2016年05月05日 16:44
文部科学省の「もんじゅ」の在り方に関する検討会が「新たな運営主体が備えるべき要件」の骨子案を示した。その要点は以下の4点である。
1. 研究開発段階炉の特性を踏まえた、ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全プログラムの遂行能力を有すること
2. 発電プラントとしての保守管理・品質保証のための体制・能力を有するとともに適切な人材育成ができること
3. 保守管理・品質保証の信頼性の向上に資する情報の収集・活用能力及びナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有すること
4. 社会の関心・要請を適切に運営に反映できる、強力なガバナンスを有すること
この「骨子案」は原子力規制委員会の指摘に応えているようではあるが、「もんじゅ」の技術面での根本的問題に向き合っていない。
「もんじゅ」が運転停止に到ったのは運転開始後、暫くしていわゆるナトリウム漏れ事件が起こり、その14年後にやっと運転再開にこぎ着けたものの、その直後に炉内中継装置の事故で再び運転停止し今に到っている。このことを最初に問題としなければならない。
さらにその間、保安検査での失態が続いて原子力規制委員会から勧告が突きつけられたということになるが、規制委員会になってからの失態はいわばソフトの問題である。ナトリウム漏れ事件に関しては事故後の隠蔽体質も問題になったが、それを別に考えると、ハードの問題としてはナトリウム漏れ事故と炉内中継装置の事故である。この2件はいずれも初期の設計段階の稚拙な設計ミスであって、現在の所員の能力の問題ではない。このことに触れていない今回の「骨子案」はそもそもの問題点の解決になっていない。
つまり「もんじゅ」は欠陥商品であるおそれがある。それは設計当時の日本の技術力の限界であったというような高級な話ではなく、二つの事故の原因は普通の経験ある機械工学の専門家であれば犯さないような素人的な設計ミスである。したがって他にもそのような設計ミスがあるのではないかという心配がある。製品に問題が無いとして保全だけの能力を求めているのは危険である。
燃料サイクルや高速炉の進め方に関しては現在の「もんじゅ」にこだわらず、新しい考え方をすべきであると、個人的には思うが、かりに「もんじゅ」の運転を目指すのであれば、この「骨子案」の前段階として、まず以下のように進めるべきである。
1. 最初から設計し直すような気持ちを持って、すべての設計図を細部にわたり問題が無いかどうか点検する。そのうえで、設計図と現実の部品等を照合して、設計図通りになっているかどうかを点検する。分解点検も必要となるので、核燃料とナトリウムは作業中「もんじゅ」から撤去保管しておく。旧動燃ではメーカーへの丸投げ体質があったと言われているが、この作業を通じて設計の全てを自分たちのものとする。
2. その作業により現在の基準では適切でない部分が見つかれば改善する。
3. これらの経験を踏まえて適切な保守管理基準と体制を作る。
さしあたり核燃料とナトリウムを「もんじゅ」本体から撤去することで、原子力規制委員会が求める運営主体の当面の能力として、現在の「もんじゅ」関係者が主になった組織でも資格ありとされる可能性はある。
ただし、個人的に「もんじゅ」関係者以外の原子力機構の職員に以上の考えを述べてみると「彼らにそこまで徹底してやる能力も気力も無い」などと言われる。
もしそうなら原子力機構全体として「もんじゅ」のかわりに「もんじゅ」の敷地と施設を可能なかぎり利用する新しい研究開発計画を立案・推進すべきである。
その内容としては、ナトリウム冷却型の高速炉の研究開発は「常陽」を使って基礎実験を行い、設計研究は中断しているFaCTの再開で行い、国際的な共同研究としてはASTRIDで行うことにする一方、「もんじゅ」の現在のミッションである長寿命の放射性廃棄物の減容低減の研究開発は、「もんじゅ」の敷地と設備を可能な限り利用しつつ、すでに基礎研究が始められている加速器駆動システム(ADS)の試験機を建設して開発研究を推進すべきであると考える。
1. 研究開発段階炉の特性を踏まえた、ナトリウム冷却高速炉にふさわしい保全プログラムの遂行能力を有すること
2. 発電プラントとしての保守管理・品質保証のための体制・能力を有するとともに適切な人材育成ができること
3. 保守管理・品質保証の信頼性の向上に資する情報の収集・活用能力及びナトリウム冷却高速炉に特有な技術力等を有すること
4. 社会の関心・要請を適切に運営に反映できる、強力なガバナンスを有すること
この「骨子案」は原子力規制委員会の指摘に応えているようではあるが、「もんじゅ」の技術面での根本的問題に向き合っていない。
「もんじゅ」が運転停止に到ったのは運転開始後、暫くしていわゆるナトリウム漏れ事件が起こり、その14年後にやっと運転再開にこぎ着けたものの、その直後に炉内中継装置の事故で再び運転停止し今に到っている。このことを最初に問題としなければならない。
さらにその間、保安検査での失態が続いて原子力規制委員会から勧告が突きつけられたということになるが、規制委員会になってからの失態はいわばソフトの問題である。ナトリウム漏れ事件に関しては事故後の隠蔽体質も問題になったが、それを別に考えると、ハードの問題としてはナトリウム漏れ事故と炉内中継装置の事故である。この2件はいずれも初期の設計段階の稚拙な設計ミスであって、現在の所員の能力の問題ではない。このことに触れていない今回の「骨子案」はそもそもの問題点の解決になっていない。
つまり「もんじゅ」は欠陥商品であるおそれがある。それは設計当時の日本の技術力の限界であったというような高級な話ではなく、二つの事故の原因は普通の経験ある機械工学の専門家であれば犯さないような素人的な設計ミスである。したがって他にもそのような設計ミスがあるのではないかという心配がある。製品に問題が無いとして保全だけの能力を求めているのは危険である。
燃料サイクルや高速炉の進め方に関しては現在の「もんじゅ」にこだわらず、新しい考え方をすべきであると、個人的には思うが、かりに「もんじゅ」の運転を目指すのであれば、この「骨子案」の前段階として、まず以下のように進めるべきである。
1. 最初から設計し直すような気持ちを持って、すべての設計図を細部にわたり問題が無いかどうか点検する。そのうえで、設計図と現実の部品等を照合して、設計図通りになっているかどうかを点検する。分解点検も必要となるので、核燃料とナトリウムは作業中「もんじゅ」から撤去保管しておく。旧動燃ではメーカーへの丸投げ体質があったと言われているが、この作業を通じて設計の全てを自分たちのものとする。
2. その作業により現在の基準では適切でない部分が見つかれば改善する。
3. これらの経験を踏まえて適切な保守管理基準と体制を作る。
さしあたり核燃料とナトリウムを「もんじゅ」本体から撤去することで、原子力規制委員会が求める運営主体の当面の能力として、現在の「もんじゅ」関係者が主になった組織でも資格ありとされる可能性はある。
ただし、個人的に「もんじゅ」関係者以外の原子力機構の職員に以上の考えを述べてみると「彼らにそこまで徹底してやる能力も気力も無い」などと言われる。
もしそうなら原子力機構全体として「もんじゅ」のかわりに「もんじゅ」の敷地と施設を可能なかぎり利用する新しい研究開発計画を立案・推進すべきである。
その内容としては、ナトリウム冷却型の高速炉の研究開発は「常陽」を使って基礎実験を行い、設計研究は中断しているFaCTの再開で行い、国際的な共同研究としてはASTRIDで行うことにする一方、「もんじゅ」の現在のミッションである長寿命の放射性廃棄物の減容低減の研究開発は、「もんじゅ」の敷地と設備を可能な限り利用しつつ、すでに基礎研究が始められている加速器駆動システム(ADS)の試験機を建設して開発研究を推進すべきであると考える。
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